木村康会長インタビュー

様々な業界で活躍されている熊大附属中学出身OBOGをご紹介していくコーナーです!
第三回は、H13卒業の高島枝里(愛那結梨)さん。

愛那結梨さんは、宝塚歌劇団月組所属のタカラジェンヌとして活動した後、現在はハウステンボス歌劇団にて、トップの娘役として活躍されています。同じく妹のH17卒高島麻里絵さんもハウステンボス歌劇団に高嶋マリエとして所属。姉妹でご活躍中です。

附属中学時代は、応援団の副団長でバリバリの体育会系だったという愛那さん。当時は宝塚歌劇団とは全く無縁だったそうです。インタビューでは運命的な宝塚歌劇団との出会いから現在のハウステンボス歌劇団の立ち上げ、現在についてお伺いしました。

ハウステンボス歌劇団は、2013年ハウステンボス株式会社による運営で宝塚歌劇団・OSK日本歌劇団の出身者を中心に結成されました。ハウステンボス内のMUSE HALLミューズホールを中心に公演されています。(Wikipediaより一部引用)舞台人養成学校であるハウステンボス歌劇学院の学院長は、(株)エイチ・アイ・エス取締役社長兼ハウステンボス社長の澤田秀雄氏です

愛那 結梨(あいな ゆり)

宝塚歌劇団出身
現在ハウステンボス歌劇団に所属
今年、チームハートのトップ娘役としてラグーナテンボスにても公演を致します。

宝塚歌劇団とは運命的な出会いだったとか?
愛那附属中学の修学旅行で初めて観た公演がきっかけでした。それまでは宝塚とは全く無縁だったのですが、偶然にも私達の学年だけ修学旅行先の一つが宝塚の観劇だったのです。初めて舞台を見た印象が、それはもう雅できらびやかで美しくて。いっぺんに好きになりました。しかも、同級生の福本瑛子さんが宝塚ファンだったので、宝塚の雑誌やDVDなどを貸してくださり、受験があるということも教えてくれました。
私はもともと3歳からバレエを習っており、歌も小学校6年生から熊本児童合唱団にも所属していたので、踊りも歌も大好き。それがお仕事になればいいなと思っていました。宝塚はそんな私にぴったりの世界。初めて舞台を観て以降、いつか私もあの大きな舞台に立ってみたい! と強く思うようになり、両親もその想いを汲んでくれたおかげで、高校卒業後、宝塚音楽学校へ進むことができたのです。
「宝塚」はとても厳しい世界と聞きますが?
愛那宝塚音楽学校は、上下関係や礼儀作法にとても厳しいんです。ただ、そんな非常に追い込まれた生活ですから、みんなありのままの「素」が出る。そして、それを全部受け入れてもらえる仲間がいる。だから耐えられたんだと思います。今も私が同期の仲間に全幅の信頼を置いているのは、そうした時代があったからに他なりません。
また、舞台人としても人としても大切な礼儀作法や上下関係のあり方については、宝塚にいたからこそ学ぶことができたこと。とても得がたい経験ができたと思っています。
2年間の音楽学校を経て、歌劇団では月組に5年間在籍しました。歌劇団時代は、日々お稽古の連続。技術向上と「美しくなる」研究にとにかく必死でした。それでも、振り付けがなかなか覚えられないといっては焦り、同期の仲間がどんどん活躍しているといっては焦る。少し成長してソロを任されるようになったら、今度は「お客様は自分をどう見えているのだろう」と悩む。いつまで経っても悩みはつきませんでしたね(笑)。
なぜハウステンボス歌劇団に?
愛那ハウステンボス歌劇団の坂本理事に声をかけていただいたのがきっかけ。ちょうど歌劇団の立ち上げ時で、一緒にやってみないかと誘われたんです。そのお話に未来を感じて、決意しました。また、熊本と同じ九州に拠点があるということも魅力でした。おかげで両親もたびたび足を運んでくれるので、親孝行ができたと思っています。
入団後は立ち上げ前にまず、外務省や経産省の後援によるバンコク、カタールとドーハ、プノンペンといった海外での文化交流公演に参加しました。本格的な立ち上げは、2013年7月。16人でのスタートで、劇場も最初はハウステンボス内の小さなテントでしたが、半年後には「MUSE HALL」が竣工し、より盛大な公演が出来るようになりました。
そうなると福岡、東京、横浜からもいらして下さり、まだ半年しか経っていないというのに、長蛇の列を作ってくださいました。同時に、メンバーも増えていったので、私自身ますます責任感を感じるようになりました。しかも、立ち上げから1年も経たない2014年には、ハウステンボス歌劇団音楽学院まで設立されたのです。
ハウステンボス歌劇団に移って、何が変わりましたか?
愛那応援してくださる方が増えました。その中には台湾の方もいますし、LAから年に4回もこられるお客様もいらっしゃいます。そうしたファンの応援が、大きな自信に繋がっています。
というのも、ハウステンボス歌劇団はお客様との距離を縮め、より良いコミュニケーションを築くことをモットーにしているから。実際、私たちが観客席まで降りていき、お客様と一緒に歌うといったライブ感も大切にしています。
しかし逆に、お客様の近くで、生の声をお届けすることになるわけですから、今まで以上に自分を磨き、絶えず努力しなければ、という気持ちは強くなっています。
附属中時代の経験も役に立っているとか……。
愛那はい。ここでは企画から台本制作、衣装のデザインにも関わっているのですが、こんなことができるのは附属中時代の「未来を想像して興味のあることをやってみよう」という未来創造科(総合学習)のおかげ。思えば当時から舞台づくりには関わっていましたからね。
ただ今は、やるからには必ず成功したい! お客様に喜んでいただけるものをやりたい! と、いろんな勉強を重ねながら、必死に取り組んでいます。しかも今後は、名古屋でこけら落としを控えていたり、東京でも場所を探していたりと、どんどん世界は広がっているので、より厳しい局面も迎えるだろうと覚悟しています。1つ1つ着実に企画を進めることで、自分も劇団も成長していければと思っています。
ありがたいことに、お客様はとても温かいですし、「世界をめざす劇団になる」というやりがいもある。壁も課題も多いですが、それを乗り越えることで仲間との絆も信頼感も生まれる。また、皆がそれぞれの得意分野で力を発揮して舞台を作ることで、連帯感も生まれています。私にとってはそうした一つ一つが、とても楽しい。生きているって手応えを、ひしひしと感じています。
座右の銘はありますか?
愛那「努力と一生懸命」です。芸事には天井がないので、つねに努力の積み重ねが必要なんです。私は生来負けず嫌いなんですが、今は自分に負けたくない。昨日よりも今日、今日より明日。日々成長していきたいと思っています。
最近は、任された企画は絶対に成功させたい! という気持ちがあまりに強く、ついつい寝る間を惜しんでがんばってしまう。ただ、そうした追い詰められた気持ちも、舞台でエネルギーを出すことで発散できる。また、お客様からいただいたお手紙にいやされる。同級生が見に来てくれることも、とても励みになる。そして何より、成功が最高のストレス発散になっています!
附属中時代に印象に残っている先生は?
愛那担任だった数学の永野先生と1年時の国語の担任の有田先生。それから英語の原田先生(原T)は一昨年、熊本公演に来てくださいました。原田先生は音楽と舞台がお好きで、これまでも頻繁にやりとりしており、その縁で同僚の方と一緒に舞台をご覧いただき、とても喜んでくださいました。
最後にOBOG、現役生へのメッセージをお願いします!
愛那附属中学で学んだことがあるからこそ、今もこうして歌劇の世界で活躍できている。しかも、「どうすれば歌劇団が発展するか」といったことまで考えられるようになっているんだと思います。ですからOBOGにも、ぜひハウステンボス歌劇団を見に来ていただき、応援していただけると嬉しいです!
現役生にいいたいことは……私自身、中学時代は勉学に励んでいましたから、それはそれでとても大切なことだと思っています。ただ、決して勉強だけにとらわれずに、夢があるならそれを追い求めてほしいですね。
実は私、中学時代は人前で話をすること、そしてスポーツが好きだったので、将来はスポーツキャスターになりたかったんです。けれど途中で宝塚と出会い、さらに福本さんがいろいろと入れ込んでくれて、結果的に今の私ができあがった(笑)。つまり、福本さんがいなければ、ひいては附属中学に行っていなければ今の私はないし、もしかしたらニュースキャスターになっていたと思います(笑)。
友人から見た愛那さん 福本瑛子
福本中学時代の彼女の印象はとにかく元気。声が大きく、大股でガシガシ歩き、部活も委員会も行事も先頭をきって突っ走るタイプでした。なので、宝塚の舞台でドレスを着て可憐に歌い踊る彼女を見た時は、なんだか見ているこっちが照れくさくなっていました(笑)。
修学旅行で彼女が宝塚ファンになってからは、休み時間に雑誌を見てキャーキャー言ったり、一緒にファンレターを書いたりしていたので、夢を叶えて宝塚に入り、当時憧れていたスターさんと同じ舞台に立っているのがとても不思議でした。その一方で、中学時代の夢を早々に諦めた私に対して、彼女は「夢は叶えるもの」ということを教えてくれた。もちろん私が想像する以上の努力をしてきた結果なのでしょう。今も新しい夢に向かって挑戦をつづける彼女には、身体に気をつけて今後も頑張りつづけて欲しいと思います。
ハウステンボス歌劇団のこれから
株式会社エイチ・アイ・エス代表取締役会長 / ハウステンボス株式会社代表取締役社長 
澤田秀雄氏

澤田ハウステンボス歌劇団は、結成から2年を過ぎ勢いは留まることを知らず、3年目も走り続けています。舞台に立つ喜びに溢れるメンバーの瞳の輝きは益々力強く、観る人を魅了し、9月には佐世保のアルカスホールにて2000人規模の劇場公演。11月3日には熊本県立劇場での公演と、より多くの皆様にこの歌劇団を見て頂けたことをうれしく感じています。
2016年4月には愛知県の舞台にて「杮落とし」が決定しており、新劇場が立ち上がります。3チーム構成となり、今後は東京の舞台も視野に入れており、そこから世界へと発信していける確かな兆しを感じています。
「素晴らしい舞台人は素晴らしい人間であれ」の理念を掲げ、ハウステンボス歌劇学院の1期生は初舞台を踏み、その溢れる笑顔で2期生に夢を与え、よき背中を見せています。3期生の募集もスタートし、「夢実現」を願う未来のスターがこの扉を開いてくれるよう期待しています。
大いなる夢を追いかけつつ、確実に懸命に日々進化し前進し続けるハウステンボス歌劇団の更なる飛躍に期待しています。
愛那結梨さんについて
澤田愛那結梨さんは、宝塚歌劇団にて数年の活躍後、ハウステンボス歌劇団の立上げの時から活躍してくれています。3組目の娘役トップスターとして抜擢され、これからどんどん彼女のもっている魅了を発揮してくれるという期待に溢れています。
彼女は、やんちゃな子供からお姫様の役までどのような役でもチャレンジできる「芸の幅が広い」逸材です。どの様な場面でも気を抜くことなく、舞台が大好き! という事が観ている側にもよくわかるので、彼女が舞台に登場すると「ハッ!」とその場の空気をさらっていけるスター性を感じます。舞台を観るたびに新鮮な顔を見せてくれる彼女のこれからが楽しみです。
                                   

公開日:2016.03.05

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